恒子さんが、好きです


僕が、このインターンで1番幸せだと感じた瞬間をお伝えしたい。

それは、この楠クリーン村で時々開催されている恒子ランチだ。
恒子ランチとは、楠クリーン村の近くに住む、恒子さんという素敵なおばあちゃんが、お昼ご飯を振る舞ってくれる時間のこと。

朝から農業や製造作業に集中した疲れを、恒子さんの笑顔とあったかいご飯が癒してくれる。
インターン期間中の33日には、恒子さんによる手巻き寿司の作り方レクチャーを受けながら、みんなで手巻き寿司を作った。

僕は、持ち前の不器用さを発揮し、恒子さんに思い出し笑いをされる程、笑われた。

 
すごく嬉しかった。できなかったを、「なぜ、できないの」ではなく、「仕方のない子だねぇ」とお茶目に言われているように感じられたからだ。普段、自分の不器用さで周りに遅れをとったり、何かを作っている時に思った通りの物を作り上げられなかったりすることがあった。
その時感じるのは、なんで、みんなと同じような説明を受けているのに自分だけ上手くいかないんだろうということ。
周りと比較して、できない自分に気まずさを感じることがあった。

でも、恒子さんに笑われた時は、全く逆の思い、こんなに笑ってもらえるのが、どこか嬉しい。辛辣なツッコミの言葉を言われているはずなのに、顔はすごい笑顔で、何度も「こうすれば完璧よ。」と丁寧に作るところを見せてくれる恒子さんは、「恒子先生!」と呼びたくなるほど…。
とても幸せな時間だった。

さて、巻き寿司の完成版を見ると一目瞭然、インターン生と恒子さん、どちらが作ったのか分かるだろう。笑 


不格好に作られた巻き寿司も、否定することはなく、「ちゃんと教えたのに下手ねぇ」と笑いながら盛り付けてくれる恒子さんは本当に素敵だった。
恒子さんの温かさ、恒子さんの料理が並ぶ食卓の温かさは、村のみんなを笑顔にさせる雰囲気を作り上げていた。

今、楠クリーン村に常にいるスタッフは5人。
でも、その村に関わりを持ち続けている人は数え切れないくらい存在している。
恒子さんもその1人。僕は、実際にここに来たことで、それを知った。

「自給自足をしている村」という入口からここに来たが、そこには生きることって何だろうということに真正面から向き合っている人たちがいて、その人たちを支えている人たちがいることを知った。
そして、この村にいるスタッフの方や他のインターン生まで、11人が僕に真剣に向き合ってくれた。「庄子君の良いところは」「ちょっと心配になるところは」と、まっすぐ伝えてくれた。
自分が目を背けていたことの1つ、「色々とやりたいと思い行動を起こすが、その体験を通して得た気づきを、さらに振り返り・深掘りをすることを疎かにしてきたこと」にも、改めて向き合う機会をくれた。



このインターンでの時間は、限られた時間の中で、自分が今1番やりたいこと・やるべきことは何かを常に考えさせてくれた。その考え方は山形に帰ってきた今も残っている。
改めて、このインターンでの時間を振り返ることはすごく大変で、深掘りがいのある部分が膨大すぎて時には面倒くさいと思ってしまう弱さもまだある。
それでも、向き合い続けようと思えるのは、この村が、これからの自分の姿を、また見せに行きたいと思う場所であるからだ。
外から来た自分に、優しく、温かく、真剣に向き合ってくれた人たちに、自分はこんな生き方をするんだと、直接伝えに行きたい。

もちろん、恒子ランチに合わせて。


山形大学 人文社会科学部 総合法律コース 3年
庄子昂之

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