五右衛門風呂と私


 インターンシップとして楠クリーン村に訪問する前、とある企画の関係で1度楠クリーン村を訪れたことがありました。その際に、草で覆われた五右衛門風呂の小屋を見たのですが「ここはもう数年使っていない」という話を聞き、「入ってみたかったけれど、難しそうだな」と思い諦めていました。

そこから少しの月日が流れ、インターン3日目。指示待ち人間を極めていた私に、スタッフの方から『何をしたいのか自分で考え、自分の思っていることを伝えよう』という言葉をかけてもらいました。一晩考えた結果、「まず五右衛門風呂の小屋を掃除して、何が何でもインターン中に入りたい!」という結論に至りました。もちろん、農作業や加工作業もしたいと強く思っていました。しかし、それらはメンバーの方々がすでにしていることです。私はまず、誰もしていないことから始めたいと思ったのです。ちなみに、これは1012日に開催する楠でのキャンプの際にお風呂が1つでは足りないということへの対策でもありました。様々な作業がある中、我儘過ぎるかなと心配になりましたが、キャンプへの対策という理由もあって、了承をもらうことができました。

その後、意気揚々と小屋の扉を開け、味わった絶望感。今でも鮮明に覚えています。大量の紙やレインコートが入っている段ボール、薪が入っている籠、棚、風呂蓋、敷板、シャンプーやボディーソープ等、様々なもので溢れかえっており、どれもほこりまみれでした。お風呂場の床も汚れており、五右衛門風呂の中は錆びだらけで蜘蛛の巣がはってありました。想像を遥かに超える状態で驚きましたが、それがより一層私の闘志を掻き立てました。諦めようとは思いませんでした。むしろ「絶対に掃除して満喫するんじゃ!!!」と変に意地になっている自分がいました。

2013年に完成した手作り五右衛門風呂。楠の隠れ名物が、山近さんの熱意により2年ぶりに復活!!写真は、当時の建築風景。



まずは入り口付近を覆っている草刈り。鶏の餌やりの際に草の刈り方を教わっていたため、不器用ながらも何とか刈ることができました。また、入り口の目の前に停められていた車を動かしてもらったため、入り口付近がすっきりしました。続いて、中の物の整理やお風呂の床・五右衛門風呂磨き。使わなさそうな物を外に出してみると、想像していたよりも広くワクワクしました。(片付けなければならない物を増やしてしまいすみません。)また、絶対に取れないと思っていた汚れや錆も結構落ちたため、俄然やる気がでました。あれほど必死に磨いたのはいつぶりだろうか…。落ちた錆びの影響で五右衛門風呂に溜めていた水がオレンジ色に染まっていたのを見て、綺麗になっていることを実感しました。必死になり過ぎてズボンも靴下も濡れまくり、服もタオルも汚れましたが気分は爽快でした。そうして休憩を挟みつつ掃除すること約5時間、ついに、入れる状態まで持っていくことができました。終わった瞬間の達成感があまりにも大きすぎて、泣きそうになりながらもにやけがとまりませんでした。入りたいという気持ちが増幅し、その日はいつも以上にそわそわしました。

そして次の日。お風呂の焚き方が以前習ったやり方と少し違っており、あまりの熱さと煙の量に後ずさりましたが、助けてもらいながらもお風呂を沸かすことに成功しました。待ちきれず、沸いた直後にいそいそと準備をすませていざ入浴。必死に掃除した五右衛門風呂は最高にして至高。自然に囲まれていることもあり、本当に、本当に気持ちがよく、言葉では表しきれない程最高の気分でした。テンションも上がりまくりで、カラオケばりに大声で歌いました。幸せな時間でした。
自分で思い立ち、自分で考えて行動する。そこから得る物は膨大です。今回は五右衛門風呂でしたが、この事実は当然ながらボランティアや企画、研究等多方面で言えることだと思います。私は今回の事柄により大きな達成感を得ることができました。この感動を忘れず、日々の生活の中で生かします。




山口大学経済学部経済学科 3年 
山近 麗子


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